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『心を洗う 断捨離と空海』という本の発売のタイミングで、映画『KU-KAI』が公開になったので、

さっそく見に行ってきました。といっても、もう1か月近く前。

噂はいろいろ聞いてたんですが、原作を気にすることなく、先入観ももたず(空海のことが描かれてる映画に違いない!)

この映画を単体として観るならば、それはそれで面白い映画でした。

これは空海の映画じゃなくて、黒猫が主人公の映画なんです。

オリジナルタイトルも『妖猫殿』ですから。

監督は中国人ですからね、正直、空海なんてどうでもいいんだと思います。

あの映画においては、あの役が空海である必要性、そんなにないし。

 

僕は映画を見る前に、原作を少しだけ読んでました(1巻の途中まで)。

それでも、読んでてよかったなあと思いました。

映画だけだといまいちつながりがわかりづらいというか、説明不足な所もあったので。

見ていて、これ、原作読んでなくて意味わかんのかな・・・と思ったりしました。

原作を少しでも読んでいて、映画を見て一番残念だったのは、空海の相棒である橘逸勢が存在を消されてること。

橘逸勢がやるべき役どころは全部白居易(詩人・長恨歌の作者)に置き換えられてます。

まあ、中国人にとっては橘逸勢なんて空海以上に興味ないでしょうし、なるべく登場人物減らしたかったんでしょうねえ。

日本人の僕だって橘逸勢のことは名前くらいしか知らなかったくらいですから。

原作本のおかげで橘逸勢に興味が出て、いろいろ知ることができました。

この人、最後は無実の罪を着せられて伊豆に流されることになって、その途中で亡くなってるんですよね。

で、怨霊になるのを恐れて京都の上御霊神社と下御霊神社に祀られてるという・・・。

なんか、原作読んでほのぼのしてたのに、可哀想になっちゃいました。

 

ま、それは置いといて・・・。

原作との違いというか、描き切れなかった部分が映画にはたっくさんあるので、ここにまとめておきたいと思います。

映画を見て、いまいちな感想を持った方は参考にしていただいて、ぜひ、原作をお読みください。

全4巻なんですが、面白いんですぐ読めちゃいます。

では、箇条書きで列記します。

 

・橘逸勢が出てこない・・・ここがもっとも残念なところ。空海の相棒としていい味出してます。

・阿倍仲麻呂が中途半端・・・これもすっごく残念。原作では阿倍仲麻呂の手紙が最大のポイント言ってもいいので。これないとほんと空海の存在理由がないんです。

・ペルシャやゾロアスター教の話を全部カット・・・まあ尺の問題考えたらしょうがないのかもしれませんが、とても重要。黄鶴や楊貴妃の出自にもつながるんで。

・楊貴妃と黄鶴の関係・・・これ、衝撃の事実。さすがにここでは伏せておきます。

・白龍と丹龍の対決・・・ここも物語の重要ポイント。ふたりの楊貴妃に対する思いなども。

・楊貴妃は生きていた・・・ネタバレですみません。ここが違ってるんで、そもそも原作と映画は全然深みが違ってきてます。

・恵果阿闍梨が出てこない・・・映画に出てましたっけ? そもそも空海はこの人に会うために唐に行ったんですよね。

・空海の描き方・・・ここが最も問題。原作では空海、大活躍です(そりゃそうですよね)。

 

空海のこと、そんなに知りませんでしたが、この本を読んで、いろいろ知ることができました。

歴史ファンタジー小説ですが、史実に基づいてることがたくさん書かれてるので当時の唐の様子なども知ることができてよかった。

そして、空海ってすごいんだなあと改めて思いました。

青龍寺の恵果阿闍梨から後継者として指名されることの重みってうのをあまり理解してなかったので。

 

あとがきを読んだら、結末を決めずに書き始めた、楊貴妃も最初は出す予定はなかった、なんて書かれてましたが、

ほんとかな~と思いました。

タイトルにある「唐の国にて鬼と宴す」というのは最後のクライマックスシーンのことだと思うんですが、

ここに楊貴妃がいなかったらただの怪奇小説というか、深みのないものになってしまってただろうから。

このシーンとか、映画で見たかったな~。

 

楊貴妃の墓が日本にあるっていうのを聞いたことがあって、そんなアホな、なんて思ってましたが、

なきにしもあらずかな~なんて思ったりもしました。そんな伝説が残ってるってだけでも面白いです。

そもそも楊貴妃や玄宗皇帝の話とか、長恨歌とか、あんま知らなかったし。

この映画で知ることができて良かった。

 

ということで、原作をぜひ。ほんと面白いです。

あ、大事な事言い忘れた。

空海に興味を持ったら、『心を洗う 断捨離と空海』もぜひ。

原作だけでは具体的な空海の宗教的な考えに関してはあまり知ることはできないので。

谷中のお寺にある空海さんの銅像です

 

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