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北朝鮮在住の作家さんによる体制批判小説『告発』の翻訳をしてくださった萩原遼さんがお亡くなりになりました。

もともと日本共産党の方で、新聞『赤旗』の記者として北朝鮮に渡り、そこで北朝鮮の現実を目の当たりにし、

朝鮮総連の欺瞞に気づき、その後、一貫して戦い続けてきた方です。

『北朝鮮に消えた友と私の物語』で大宅壮一ノンフィクション賞も受賞されています。

経歴を見るととても激しい活動家のような印象を持ちますが、

とても謙虚で、気さくで、物腰の柔らかい、お茶目で気のいいおじいちゃんという方でした。

 

 

萩原さんを紹介してくれたのは、今年の夏にお亡くなりになったパク・ピョンヤンさんです。

在日2世の朴さんは萩原さんと同じ志を持ち、北朝鮮と戦っていました。

パクさんから『告発』を出版したいと相談され、萩原さんを紹介していただきました。

うちのような小さな出版社では少々荷が重いのではないかと考えましたが、

これもご縁だと思い、出版させていただきました。

帯には萩原さんの紹介で櫻井よしこさんから推薦文をいただくことができました。

 

この『告発』は萩原さんが2014年に胃がんの告知をされてから私財をなげうって始めた雑誌『拉致と真実』に掲載されていたものです。

この短編小説集で、北朝鮮の悲しい世相を切なくなるほど感じました。

著者のパンジ(ペンネーム)さんは、現在も北朝鮮にいるそうです。

この本を広めることが著者を救うことであり、北朝鮮の住民を救うことだと言っておられました。

萩原さんを紹介してくれたパクさんにも

「この本を出版したということは、これからもこういう活動に参加して行かざるを得なくなる」

というようなことを言われました。

どこまでできるかわかりませんが、お二人の遺志を引き継いでいきたいと思います。

 

写真は『告発』出版後、公開ラジオ「日本、サイコー」にゲスト出演する際、

現地に少し早く着いたので喫茶店で時間つぶしをしていた時のものです。

本のこと以外でゆっくりお話しできたのはこの時が初めてでした。

もともと萩原さんは共産党員ですので、僕とは思想がまったく違うはずなので、

それまでは政治的な話は避けていたのですが、もういいだろうと思っていろいろ聞いてみました。

仕事や思想以外の私生活のことなどもお話してくださいました。

政治的な考え方は違いましたが、とても人間的で、ますます好きになりました。

お酒がお好きな方で、収録後の懇親会でお酒を飲みすぎ、帰りはフラフラでした。

これがきっかけで体調を崩し、数日後に一緒に行くことになっていた訪韓ができなくなりました・・・。

 

とても律儀な方で、僕のような若造にもいつも丁寧に接してくれました。

電話でお話することが多かったのですが、誠実な人柄が伝わる萩原さんの声色が今も耳に残っています。

 

あらためて萩原遼さんのご冥福をお祈りします。

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