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鶯谷のスナックでしゃっくりと戦う

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鶯谷の行きつけのスナックです。

若い頃から「行きつけのスナック」に憧れていました。

何度かトライしたことがあるんですが、これまではどうもしっくりくる店がなく、

なかなか行きつけという店はできませんでした。

お客さんで賑わいすぎてる店というのが苦手で、なんか適度に寂れた感じが欲しいんですよね。

で、巡り合ったのがこちらの店。

「寂れた」というのは僕の心象風景の中のイメージで、ママがお客を選ぶもんで、変なお客さんは入れないから、

わちゃわちゃしてないというか、落ち着いてるんです。

で、なぜかママに気に入ってもらえて、晴れて常連入りというか、行きつけにさせていただきました。

なんというか、大人の階段昇った感じです。

 

で、この日もひとり。

カウンターでママとしっぽり焼酎の水割りを飲んでました。

で、なんかのはずみでしゃっくりが始まっちゃって・・・止まりません。

普段だったら深く息を吸い込んでお腹に力を入れて息を止めると収まるんですが、この日のしゃっくりはなかなかしぶとい。

息止めて水飲んでも止まる気配を見せず・・・。

見かねたママがしゃっくり止めの秘法を教えてくれました。

お酢を飲むと止まる・・・。

え、まじですか? 聞いたことないんですけど。

まあでも、せっかくなんでやってみることに。

 

お店で使ってるお酢を取り出し、グラスに注ぐママ。恐る恐る一連の動作を見守る僕。

ワンフィンガーのお酢ストレート。

少し酒焼けした声で「はい!」っと元気よく差し出されました。

一気に飲む僕。そして沈黙。見守るママ。

静かな時間が流れます・・・。

そして、止まったと思って僕が笑顔を見せた次の瞬間、「ヒクッ!」。

失敗です。

怪訝そうな表情を浮かべるママ。まあ、僕はそんなに信用してなかったので、やっぱりなくらいな感じです。

納得いかないママはしゃっくり止めに使用したお酢のビンを見つめます。僕もつられて見つめます。

するとそこには「やさしいお酢」(商品名)という文字が。

やっぱり、と言わんばかりのママの顔。ママと見つめあい、なぜかふたりで大爆笑。

で、優しいお酢だから駄目だったんだ、ということになり、今度は別な所からやさしくないお酢を持ってきました。

同じグラスに再びワンフィンガー。普通の米酢です。

断れるはずもありません。再び一気飲み。そしてしばしの静寂。

そして静寂を破る「ヒクッ!」。ダメです。やさしくないお酢でも効きません。

引っ込みがつかなくなったママは新たな秘法を・・・。

グラスに水を入れ、割り箸を十字に置いて、割り箸のない4か所から順々に水を飲んでいくというもの。

なんだそりゃ。

なんか、お酢の方がまだ効きそうな・・・。

まあ、でもこうなったら試すしかありません。言われるままにグラスに割り箸を置いて、順々に水を4か所から飲みました。

もうね、効く気全くしませんでした。

案の定、しゃっくり出まくりです。

「おかしいわね~」としゃがれた声で僕を見つめます。

なんか、僕が悪いみたいになってきました・・・。

 

で、もうあきらめて、しゃっくりしたまま時を過ごし、

話すこともなくなった頃に「歌でも歌う?」というママのすすめで、

誰もいないスナックで一人で歌うことに。

何も聞こえない~、何も聞かせて、くれない~~♪

壊れかけのラジオをママのために熱唱します。罪滅ぼしのように。

調子っぱずれな手拍子でママが盛り上げてくれます。ときどき「いよっ」みたいな合いの手まで入ります。曲にあってません。

マイクのボリュームとBGMのバランスが絶妙で意外と気持ちいい。

で、歌い終わる頃にはしゃっくりが止まってました。

 

しゃっくりにはカラオケがいいようです。

スナックでまたひとつ学びました。

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