昨年末に訪れた伊勢神宮お礼参りの続きです。
宇治山田駅前の「ちとせ」で伊勢うどんを食べたあとは河崎散策をしようと思っていました。
ここは川沿いの街で、昔は海運で栄えたところ。そんな昔の街並みが残っていて、ぶらり散歩するのに楽しいところです。
宇治山田から歩いて向かいました。10分ちょっとです。
以前、取材で訪れた「モナリザ」でコーヒーブレイクにしようと思ったら、
喫茶スペースがなくなっていてがっかり。
こちらはオリジナルのTシャツや、「ささささささささささ中」クッキーというのを売ってます。
読めますか?
モナリザではコーヒーは飲めなかったんですが、新しいしゃれた喫茶店ができていて、そっちに入りました。
古い家(倉庫)をリノベしたふるかわ系のお店です。
メニューを見たらコーヒーが1杯500円以上するので、意外と高いな~と思ってたら、
なんとサービスでフレンチトーストがついてました。
コーヒーもサーバーで出てくるので、たっぷり2杯は飲めました。
これで500円ちょっとなら安いですね。伊勢のラッキーその3です。
河崎の街、ほんと、雰囲気いいんですが、観光客はほとんどいませんでした。
ちょっと心配・・・。
散策を終え、次は月読宮と倭姫宮へ行く予定だったんですが、この日はとにかく寒い。
とりあえず、コンビニでカイロ買って、体にべたべた装着し、流しのタクシーを待つものの、来ない・・・。
このあたり、流しのタクシーなんて来ないんですね。
スマホのアプリでタクシー呼ぼうとしたんですが、近くにいないみたいで何度試しても来ない。
仕方なく宇治山田駅までまた歩くことに。
で、駅まで歩いたらなんかもう疲れちゃって、駅でタクシー拾ってそのまま宿へ直行。
宇治山田駅から1700円くらいだったかな。
宿は神宮会館です。
予約した時は1泊2食つきで8000円くらいの部屋(トイレ・風呂なし)しかなかったんですが、
ものは試しと、キャンセルが出てないか聞いてみたら、一つ上のランクの部屋にキャンセルが出ていて、そこに泊まれることに。
神宮会館は何度か泊まったことはあるんですが、これまでは素泊まりの最安値の部屋だったので、
正直、あんまりいい印象はありませんでした。
が、部屋の扉を開けてびっくり。そこそこの旅館と変わりない立派な和室でした。
神宮会館の印象が一瞬で変わりました。いやあ、ラッキー。伊勢のラッキーその4です。
そしてフロントの売店の書籍コーナーで意外なものを発見。
右の本、以前勤めていた武田ランダムハウスジャパン時代に僕が作った本です。
この会社、5年前に倒産してるので、この会社の本は書店さんでは流通していません。
そんな貴重な本がここでまだ売られているとは・・・。
伊勢神宮を撮り続けている女性写真家・稲田美織さんの伊勢神宮のフォトエッセイです。
この本がきっかけで伊勢神宮とのご縁が広がっていったという思い出の本。
カバーの写真は社名に取り入れさせてもらった「風日祈宮」へ向かう鳥居です。
この頃は独立することも、会社の名前を「かざひの文庫」にするなんてことも思いもしませんでしたが・・・。
ご縁ですね。
宿には16時前に着いたので、とりあえず荷物を置いて、すぐにおかげ横丁へ繰り出しました。
このあたりは17時にはみんな閉まってしまうので、明日のための下見という感じ。
外宮で食べられなかった豚捨のコロッケをつまんだり。
夜食用にお菓子買ったり。
晩御飯は18時から。2500円の一番シンプルな食事にしたんですが、質・量ともに申し分なく大満足。
翌日は6時半集合で早朝参拝をするつもりだったので、大浴場に行って汗を流し10時前には消灯。
そして翌朝。
神宮会館名物(?)の早朝参拝です。
ホテルの方が内宮を案内してくれるんです。この日は参加者が多く、2班に分かれての行動。
1班あたり20人くらいかな。神宮会館から内宮までは徒歩5分くらいです。
早朝の宇治橋です。
昼前ごろから混みだすので、なかなかこんな静謐さは味わえません。
断言します。内宮参拝は朝に限ると。
ホテルの方は要所要所で立ち止まり、説明をしてくれたり、写真を撮ってくれたり。
この早朝参拝、無料です。
参道には日本酒!
伊勢神宮には日本全国からお酒が奉納されます。
それっていったいどうするのか・・・?
神職さんが飲むんです。なので、神職さんはお酒が強くないと務まらないなんて冗談みたいな話も。
そんな話を娘にしてたら、ホテルの方が「よくご存じですね、みなさんお強いんですよ」と話しかけてくれました。
ほんとの話らしいです。
内宮の御手洗(みたらし)。神秘的。
境内はまだ少し薄暗く、静けさの中、玉砂利の音がシャリシャリと響き、気持ちがいいです。
五十鈴川で清めた後は、すぐ近くにある「瀧祭神」に参拝。
ここは川の神様が祀られています。この神様は参拝者をアマテラスに取り次いでくれるそうです。
まあ、受付みたいな?
なので、まずはこちらにお参りするのがいいみたい。
そしてそのまま内宮ご正宮へ。7時前くらいですが、もう何人か参拝されています。
本当に誰もいないような内宮を味わい方は、5時開門なので、その頃いらしてください。
冬の5時だとまだ真っ暗なので灯篭に明かりがともっていて、昼とは全く違う雰囲気が味わえます。
ここでも正式参拝をするつもりだったので、ホテルの皆さんとは別行動をとらせてもらいました。
これで、外宮の時と同じようにご正宮の外玉垣のそばにある宿衛屋にいらっしゃる神職さんに特別参宮章を見せて家族3人での参拝をお願いすると、
当然のように3人入れてくださいました。なんか大学卒業したてのような若い神職さんでした。
内容は外宮と全く一緒です。外玉垣の内側に入れていただき、御本殿の正面に立たせていただいて、二拝二拍手一拝。
前日も同じことやってるんですが、やっぱり緊張します。
天照大御神に感謝の祈りを捧げて、しずしずと後にしました。
正式参拝を終えると、早朝参拝グループとは別行動をとったので、僕ら家族3人で荒祭宮へ向かいます。
ここはご正宮から荒祭宮へ向かう途中の道で、ご正宮を振り返ったときのもの。
このまま歩くと左側に倉庫のような建物があります。
御稲御倉(みしねのみくら)といって、こちらは内宮の所管社。伊勢神宮125社のうちのひとつなんです。
唯一神明造で、ご正宮と同じ造りだそうです。
ちなみに、内宮の社殿はすべて千木が内削ぎ(水平)で、鰹木が偶数です。
外宮は反対で千木が外削ぎ(垂直)で、鰹木が奇数。
一般的には内削ぎ・偶数は女性神、外削ぎ・奇数は男性神が祀られていると言われています。
別宮、摂社、末社、所管社とも、内宮と外宮のどちらに所属しているかによって、千木と鰹木が決まっています。
これ、気にして神社巡りすると面白いですよ。
さて、荒祭宮へ向かう途中の階段には不思議な石があります。
「踏まず石」といわれています。
なんでこんなところに? と思われるんですが、詳しいことはわかりません。
踏んじゃいけないと言われてるみたいなので、お気を付けください。
で、いよいよ内宮の第一別宮である荒祭宮(あらまつりのみや)です。
ご祭神は天照大御神の荒御魂です。
が、一説によると瀬織津姫とも。
瀬織津姫とは記紀には登場しない神様で、祓戸四神のうちの1柱です。
水の神様ともいわれ、参拝の前に祓い清めてくれる神様とされています。
が、ホツマツタヱによると瀬織津姫とは天照大御神の皇后なんですね。
え? アマテラスの皇后? アマテラスって女性神じゃないの?
と思われる方がほとんどかと思いますが、ホツマツタヱではアマテラスは男性神なんです。
ご興味のある方はホツマツタヱを読んでみてください。
こんな本も出してます。
毎月、著者の今村先生をお呼びして勉強会もやってますんで、よろしかったらそちらもどうぞ。
フェイスブックページはこちらです。
荒祭宮の古殿地(式年遷宮前に建っていた敷地)の階段のど真ん中には立派に成長した木がにょきっと立っています。
伊勢神宮では自然に生えてきた木々などは切らないことにしているようで、こんなことになっちゃいました。
125社の中にはご社殿の真ん前ににょきっと生えている木もあったりして、おおらかだな~って思いました。
この木が前回のブログで紹介した『わたしがみつけたもの~伊勢神宮125社をまわって~』のカバーの木です。
※隣のうちわは『古事記ゆる神様100図鑑』のプロモーション用に作ったもの。
弊社から直接本を買ってくれた人にはプレゼントしてます。
さて、荒祭宮を参拝して、メイン通りに向かう途中にあるのが、この謎の空間。
こちら、四至神(みやのめぐりのかみ)といって、内宮の敷地の守り神です。
こちらも125社のうちのひとつ。
案内板もないので、知らなきゃ通り過ぎてしまいます。
こちらも手かざしはご遠慮ください。
ここから社務所へ行くと、神宮会館の早朝参拝グループがお買い物の最中でしたので、再び合流。
いつもならこれでホテルへと戻るらしいのですが、今回は女性の方が多いので、ということで、
もう1か所ご案内してくださいました。
コノハナサクヤ姫が祀られている子安神社とそのお父さんであるオオヤマツミが祀られている大山祇神社です。
ここを参拝して、神宮会館の早朝参拝は終了。皆さん、ホテルへ戻られます。
が、僕にとって大事な風日祈宮(かざひのみのみや)をまだ参拝していません。
案内してくださった宿の方に再び離脱することを告げ、目的地へ。
風日祈宮へ渡る風日祈宮橋の上から見た五十鈴川の支流です。
ここからの眺め、ほんと好き。
風日祈宮は内宮の手前にあり、いわゆる川向うになっているので、見逃しちゃう方が意外と多いんですよね。残念。
こちらの地図で場所をご確認ください。
ご祭神はシナツヒコ。風の神様です。外宮の風宮と同じ神様ですね。
かざひの文庫の名前はこの神社からいただきました。
で、シナツヒコはかざひの文庫の守り神だと勝手に思っています。
今は別宮になっていますが、もともとは風宮同様、末社格だったのですが、
元寇の時に神風を吹かせて敵を追っ払ったってことで、別宮に昇格したんだそうです。
すごいな、シナツヒコ!
参拝のあと、写真撮りまくり。
御本殿も正面から撮りたかったんですが、ず~~~~~~~~とお祈りしてるおばさまがいて断念。
なので、正面写真は古殿地のみ。
まあ、この御姿も好きなんですが。
離れがたい気持ちを抑えつつ、後にします。
おばさまはまだお祈りしてました・・・。
これにて、内宮のミッションコンプリート。
ホテルへと戻ります。
もうすっかり朝です。
早朝参拝のいいところは、人が少ないというだけでなく、伊勢神宮のいろんな顔が見られるということです。
それこそ朝5時の開門と同時に入れば中はまだ真っ暗だし、そこから日が昇ってきて薄明りのなかの幽玄といった感じになり、
8時すぎには朝日に包まれるという。
宇治橋から五十鈴川を眺めると、日の丸がはためいていました。
なんか、日本人でよかったな~と思えて、ありがたくなりました。
そして、ホテルで朝ごはん。
早朝参拝組はとっくに食事を終えていて、僕らが最後になってしまいました。のんびりしすぎました・・・。
シンプルイズベスト。
普段は朝は野菜スムージーだけなんですが、旅に出ると食べちゃいます。
しかも朝から動いたし。みんなでモリモリ食べてお櫃が空に。
美味しかったです。
神宮会館、最高!
神宮会館を満喫して、チェックアウト。荷物を預かってもらって、再び内宮前のおはらい町通りへ。
「おかげ横丁」という名前がすっかり定着していますが、「おかげ横丁」はおはらい町通りの脇に新たに作られた一角で、
内宮から伸びている通りは「おはらい町通り」といいます。
もともとここは「御師」(おし・おんし=昔のツアコンみたいな職業)がいたところで、
参拝前に参拝者をお祓いしていたからこの名がついたとか。
最近すっかりコーヒーづいてる自分はまずはモーニングコーヒーということで、五十鈴川カフェへ。
五十鈴川の川沿いに建つシャレオツなカフェです。
ケーキの種類も豊富。ロールケーキやシュークリームが人気だそうです。
このあと、お香やお菓子やお酒や漬物やいろいろお土産を買いこんで、
おかげ横丁で射的やったり、神話の館で古事記のショートムービーを見たりして、たっぷり観光。
お昼は伊勢名物のてこね寿司。
カツオの漬け丼です。
ねっとりしてて超うまい。
家族は松坂牛。大奮発。てこね寿司の倍以上のお値段です。
おはらい町通りとおかげ横丁を堪能してホテルに戻ります。
お昼になると観光客はぐっと増えて、宇治橋前はこんな感じ。
もう静寂なんてありません。かなりの賑やかさ。
内宮参拝は朝に限ります。
こちら、おまけ画像です。
おはらい町通りの先にある内宮おかげ参道の地下通路の壁面にあるハート。
前に取材で訪れた時に、案内してくれた観光協会の方が若干照れながら教えてくれました。
パワースポットにしたかったと思うのですが、気づいてる人あんまりいませんでした。
写真撮ってたら、何してんだ? みたいな目で見られて恥ずかしかった・・・。
さて、これにて伊勢のお礼参りの旅は終了。
が、心残りがひとつ。月読宮と倭姫宮です。
どちらも遷宮をしてからまだ参拝していません。
倭姫宮は御敷地が真横にあり、隣に移るだけなのでなんとなく想像がつきます。
が、月読宮はちょっと離れた場所に移ります。そこは是非とも見ておきたい!
ということで、駅への道すがら、タクシーを途中で停めてもらい、参拝することに。
駐車場のある入り口から入ると、すぐ右手に葭原(あしはら)神社という内宮の末社があります。
江原さんがパワースポットとして紹介してから人気になったみたいです。
まずそこを参拝し、御本殿へ向かいます。
どーんと4つの社殿が横並び。普通のカメラじゃ撮れません。
写真の右の社殿がツキヨミを祀った月読宮です。4つ並んだ右から2番目にあり、ほかの3つより少しだけ大きいです。
で、ここから最初に参拝します。
右から順に、月読荒御魂宮、月読宮、伊佐奈岐宮、伊佐奈弥宮と並んでいます。
参拝順は、月読宮→月読荒御魂宮→伊佐奈岐宮→伊佐奈弥宮となっています。
4つの社殿が並んで建っている景色はなかなか壮観です。
ゆっくりしたかったんですが、タクシーを待たせてあるので、急いで参拝を済ませて、これにて完全終了です。
最後に月読宮まで参拝できてほんとよかった。濃い1泊2日でした。
帰りには名古屋で手羽先唐揚げとあんトーストも堪能。
いい旅でした。
みなさんの伊勢神宮参拝の参考になると幸いです。
※おはらい町通りで買った白鷹のミニ樽酒。お正月に美味しくいただきました。