出雲大社には境外摂社というものがいくつかあります。文字通り、出雲大社の敷地の外にある神社のことです。今回、この境外摂社もいくつか参拝予定に入っています。
まずは、歩いて行ける命主社(いのちぬしのやしろ)へ。
ここへ行くには本殿に向かって右側にある北島国造館を抜けていきます。
北島国造館とは、アメノホヒ(アマテラスの次男。国譲りのためにアマテラスに派遣されたけどオオクニヌシに惚れ込んでそのまま居ついちゃった神様。オオクニヌシを祀る出雲国造家の祖)の子孫である北島家による出雲教の総本院です。
今の出雲大社の宮司家は千家家なんですが、北島家と千家家は元は一緒でどちらのアメノホヒを先祖としています。室町時代に分裂して(まあ、相続をめぐるお家争いですね)、月替わりで北島家と千家家が宮司を務めていました。が、明治時代になってから千家家が出雲大社の宮司家となり、それからはずっと千家家のままという。まあ、いろいろあったんでしょう。
出雲大社と同じようにオオクニヌシを祀っていて、立派な庭園があります。
地元の人は出雲大社より北島国造館のほうへ行くなんて話を聞いたことがありますが、どうなんでしょうか。
ここは通るだけのつもりだったんですが、気持ちのいい場所なんでみんなまったりしちゃって、ちょっと焦りました(笑)。
で、この北島国造館を抜けてちょっと行ったところに命主社があります。
樹齢1000年といわれる巨大なムクの木。かなりの迫力です。
社殿はこじんまりとしたものですが、その背後に聖地があります(写真撮り忘れた)。
真名井遺跡といわれる神籬のような場所で、ここから弥生時代の勾玉などが出土しました。社殿などなく、ただ注連縄で覆っているだけの場所なんですが、なんとも言い難いオーラがあります。
祀っているのはカミムスビ。最初に生まれた造化三神のうちの一柱です。スクナビコナのお父さんで、オオクニヌシが兄神に殺された時にはウムギヒメとキサガイヒメを派遣して、命を復活させました。
ここ、あまり訪れる人いませんが、出雲大社から歩いてすぐなんで、おすすめです。
さて、これにて午前中の参拝は終了。お昼を食べに出雲ワイナリーへ。
ここで、島根牛の鉄板焼きをいただきます。が、僕は牛肉食べないためにベジタリアンコースを選択。島根牛よりお値段高かったのですが、野菜のお鍋というのはなんともテンション下がりまして、ちょっと後悔。ここではお肉を食べたほうがいいと思います(笑)。
食事の後はワイナリーにあるお土産売り場でワインの試飲。
10種類以上くらいあるワインが飲み放題です。やばいです、これ。ほろ酔いになって、いろいろ買っちゃいました。
稲葉の白兎をイメージしたのか、金のウサギがあったので迷わず購入(右のあやしい奴はめんたいこです。博多で買いました)。これ、耳が折れやすいので注意です。
こんな姿になってしまいます。
さて、午前中で時間をたくさん使っちゃったんで、お昼は巻き巻きにして、1時間もしないうちに午後の部へ突入。まずはこの近くになる、出雲大社の摂社の阿須伎神社(あすきじんじゃ)へ。
御祭神はオオクニヌシの息子のアジスキタカヒコネ。この神様は神武天皇の吉野入りを助けた三本足のカラスのヤタガラスともいわれています。このあたりはホツマとは全然違います。安彦良和さんの漫画『神武』ではほぼ主人公的な存在です。この漫画、とても面白いのでおすすめ。前編ともいえる『ナムジ』からお読みください。この漫画のもとになったと言われる『古代日本正史』(原田常治著)が僕の古代史のバイブルです。これもよかったらどうぞ。
境内にある神籬。ここに生えている木の枝で自分でお祓いをしてから参拝します。
注連縄張ってないんで、気づかない人が敷地内に入っちゃったりして焦る。
みなさん、参拝の際はお気を付けください。
この奥の階段上がったところに荒神社があります。ここには藁でできた蛇というか龍というか、そんなものが祀られていました。この藁の蛇、出雲の荒神社ではよく見かけます。
で、帰ろうとしたら優しそうなおじいちゃんが「みなさん、どちらから来られたんですか?」と声をかけてくれました。東京! 千葉! 神奈川! 名古屋!などなどお答えすると、「遠いところからわざわざありがとうございます。では、少しお話ししましょう」とお話を始めてくださいました。この神社の宮司さんだったのです。ラッキー。
現在は阿須伎神社はここひとつだけなんだけど、昔は出雲では一番多く存在していたそうで、今ある阿須伎神社を入れて、その数全部で39社。で、出雲大社にある東西二つの十九社は、今では神在祭の時の神様のホテルということになっていますが、実は近在にあった38社を半分にして19社ずつ出雲大社の中に祀っているんだと。みんな、ほほ~~~となって盛り上がりました。
で、39という数字が加茂岩倉遺跡から発掘された銅鐸の数と一緒だということで、これまた大盛り上がり。ホツマツタヱには「ミソコタカラ」という記述があり、これが39個の銅鐸のことだとし、これこそホツマの真実性を証明するものだと今村先生はおっしゃっています。「39(みそこ)」という数字はホツマ好きにはピンとくる数字なんですね。
そんな興味深いお話を、最初、15分くらいとおっしゃっていたにもかかわらず30分以上もお話しくださいまして、スケジュール管理する自分にとってはちょっとドキドキしながら聞いていました(笑)。
とっても福耳な、チャーミングな宮司様でした。
感謝を伝え、和気あいあいとバスにも戻ります。
お次はこの日のメインイベントともいえる韓竈神社へ向かいます。
つづく。